ダイエット停滞の原因:食品のGI値・GL値を評価し改善する方法
ダイエットを続けていると、ある時点で体重の減少が止まる「停滞期」に直面することがあります。多くの要因が考えられますが、普段の食事内容、特に摂取する食品の血糖値への影響に目を向けることも、原因を評価し改善策を見つける上で重要となります。ここでは、食品のGI値(グリセミック・インデックス)とGL値(グリセミック・ロード)に焦点を当て、ダイエット停滞の評価と改善にどのように活用できるかを解説いたします。
GI値・GL値とは何か
GI値(Glycemic Index)は、食品に含まれる炭水化物が食後にどのくらいの速さで血糖値を上昇させるかを示す指標です。ブドウ糖を摂取した場合の血糖値上昇率を100として、他の食品と比較します。GI値が高い食品ほど、食後の血糖値が急激に上昇しやすい傾向があります。
GL値(Glycemic Load)は、GI値に加えて、その食品を摂取した際の一般的な量に含まれる炭水化物の量を考慮した指標です。GI値だけでは、食品の種類による血糖値への影響度しか分かりませんが、GL値は「どれだけ血糖値を上昇させるか」をより正確に予測するために役立ちます。計算式は「(GI値 × 食品に含まれる炭水化物量 g) ÷ 100」となります。
GI値やGL値が高い食品を摂取すると、血糖値が急上昇しやすくなります。これにより、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されます。インスリンは血糖値を下げる一方で、余分な糖を脂肪として蓄積する働きも持っているため、インスリンの過剰な分泌は体脂肪の増加や分解の妨げにつながる可能性があります。これが、ダイエット停滞の一因となり得ると考えられています。
あなたの食事のGI値・GL値を評価する視点
自身の食事におけるGI値・GL値の影響を評価するには、以下の点を振り返ってみることが有効です。
- 主食の種類と量: 白米、食パン、うどんなどの精製された炭水化物は、一般的にGI値が高い傾向があります。これらを一度に大量に摂取していないか確認してみましょう。全粒穀物や玄米、そばなどはGI値が比較的低いとされています。
- 間食の内容: クッキー、菓子パン、清涼飲料水などは、糖分が多くGI値・GL値が高くなりやすい傾向があります。これらを習慣的に摂取していないか見直してみましょう。
- 食事の組み合わせ: 単品での食事や、野菜やタンパク質よりも先に炭水化物を食べる習慣は、血糖値の急上昇を招きやすいことがあります。
- 調理方法: 同じ食品でも、加熱時間や調理方法によってGI値は変化することがあります。例えば、ジャガイモは調理法によってGI値が変わることが知られています。
日々の食事内容を記録し、特に炭水化物を多く含む食品について、GI値やGL値の情報を参照しながら自身の摂取パターンを客観的に見ていくことが、評価の第一歩となります。
GI値・GL値を考慮した具体的な改善策
GI値・GL値を意識した食事は、血糖値の急激な変動を抑え、インスリンの過剰な分泌を防ぐことにつながります。以下に具体的な改善策を提示します。
- 低GI・低GL食品の選択:
- 主食:白米を玄米や雑穀米に、食パンを全粒粉パンに、うどんをそばに置き換えることを検討してください。
- 野菜:葉物野菜、きのこ類、海藻類などは一般的にGI値が低いです。
- タンパク質源:肉、魚、卵、大豆製品はGI値が低いです。
- 果物:種類にもよりますが、ベリー類や柑橘類は比較的GI値が低い傾向があります。ただし、果糖も含むため適量を心がけましょう。
- 食べる順番を工夫する: 食事の最初に野菜やきのこ、海藻類を食べることで、食物繊維が糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます(ベジタブルファースト)。次に肉や魚などのタンパク質、最後に炭水化物を摂取するという順番も有効です。
- 調理方法の見直し: パスタはアルデンテに茹でる、芋類は冷やしてから食べる(レジスタントスターチが増える)など、GI値が上がりにくい調理法を選ぶことも一つの方法です。
- 飲み物の選択: 清涼飲料水や加糖コーヒー、果汁100%ジュースなどは糖分が多くGI値が高いため、水やお茶、無糖コーヒーなどに切り替えることが推奨されます。
- 食事の組み合わせを意識する: 炭水化物を単独で食べるのではなく、必ず野菜やタンパク質、脂質と組み合わせて食べることで、全体としてのGI値やGL値を下げることができます。
これらの改善策は、一度に全てを取り入れる必要はありません。まずはご自身の食事記録を見直し、GI値・GL値の観点から「改善の余地がありそうな点」を一つか二つ特定し、そこから少しずつ意識して変えていくことをお勧めします。
継続とモチベーション維持のヒント
GI値やGL値に配慮した食事は、単なる制限ではなく、血糖値コントロールという体への負担を減らす健康的な食習慣と捉えることが重要です。厳密すぎると継続が難しくなる場合もありますので、時には緩めることも許容し、全体としてバランスの取れた食事を心がけることを目指しましょう。
また、GI値やGL値はあくまで指標の一つであり、これだけがダイエット停滞の原因や解決策ではありません。摂取カロリーの総量、PFCバランス、運動量、睡眠、ストレスなど、他の要因も総合的に評価し、多角的なアプローチで停滞期を乗り越えていくことが成功への鍵となります。
まとめ
ダイエット停滞期に直面した際は、食事内容の質、特に食品のGI値やGL値にも目を向けてみることが有効な評価・改善の視点となります。日々の食事を客観的に見直し、低GI・低GL食品の選択、食べる順番、調理方法などを意識した改善策を少しずつ取り入れることで、血糖値の急激な変動を抑え、停滞脱出の一助となる可能性があります。ご自身の体と向き合い、無理のない範囲で実行可能な方法を見つけていくことが、継続的なダイエット成功につながります。